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ブルベのライドレポートを書いていきます

2023 Paris-Brest-Paris レポート #4 走行編② ~ サン・ニコラ・デュ・ペレム → ケディヤック ~

 走行編②は3日目、ブレストにタッチする360 km。眠い目をこすりつつ、テールライトの光が連なる宵闇の中へと駆け出す。

 初日・2日目はこちら。

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WP サン・ニコラ・デュ・ペレム (2:30 484 km) → PC5 カレ (3:50 517 km)

 午前2時、ボランティアスタッフの方に起こされて起床。効きすぎの暖房のせいで寝付きはあまり良くなく、4時間寝た割には疲れがあまり取れていないような感じがした。そそくさと仮眠所を退出し、防寒着代わりのレインウェアを着込んで再出発の準備をする。以前のブルベの反省からコンタクトを外して仮眠したため、新しいコンタクトを付ける必要があったが、日本のコンビニのように鏡の付いた洗面所はほとんどない。なんとか鏡無しでコンタクトを取り付け、駐輪場で荷物整理をして再出発。少しタイムロスをしてしまったが、目のトラブルもDNFの元なので、必要なタイムロスだったと思う。

 さて、次のPCの足切りに間に合うギリギリまで仮眠する計画にしていたのだが、出発前のゴタゴタで時間を食ってしまったので意外と急がなければならない。相変わらずWPを出ると真っ暗闇が広がっていたが、幸い良いペースの3,4人のパックを発見。同行させてもらった。この区間は距離こそ短いものの上り基調で、心なしか周囲も鬱蒼としていて、単に明かりがなくて暗いという以上に圧迫感を感じた。

 現在のペースと残り距離から到着時刻を計算しつつ走っていく。国内ブルベでは信号や渋滞等で予想外に時間がかかるなんてことが多々あるが、PBPではその心配はほとんどなく、機材や体調にトラブルが起きない限りほとんど一定ペースで走っていけるので、市街地中心部でもグロス低下はそれほど考慮しなくて良いように感じた。結局PC5のカレに到着したのはクローズ15分前。内心ハラハラしたが、無事クローズに間に合ってよかった。

 カレのPCは学校の校庭のような場所に駐輪場があるのだが、そこに至るまでの道も砂利が浮いていて滑りやすく、タイトコーナーもあって神経を使った。なんとか駐輪場までたどり着き、自転車を停めてコントロールに向かう。スタンプを貰い、流れに任せて進んでいくと食堂に長大な列ができていた。次のPCクローズまで時間的余裕もできたので休憩がてら列に並んでみたが、特に食べたいものもなく、結局バゲットだけで済ませてしまった*1

PC5 カレ (4:20 517 km) → PC6 ブレスト (9:30 607 km)

 次のPCはいよいよ折返しのブレストだが、そこに至るまでにPBP最高地点に向けてのダラダラ登坂が待ち構えており、区間距離も90 kmと長い。途中どこかで休憩でも取ろうか、などと考えながら再出発した。しかし出発したはいいものの、やはり睡眠の質が悪かったようで、さっき寝たばかりなのにもう眠気が来た。どこかで仮眠しようか、いやしかし夜間の冷え込みが……などと逡巡していたところ、タイミング良く雑魚寝集団の溜まり場を発見。便乗して空いていた石垣の上に陣取り、5分後に目覚ましをかけて仮眠。満天の星空を楽しむ間もなく眠りに落ちた。

 5分後目覚ましに起こされて起床。短時間ではあったが、おかげで頭がかなりスッキリした。後続が途切れたタイミングで車列に混ざりリスタート。さっきは眠気で気づかなかったが、この区間はPBP最高地点に向けて徐々に標高を上げていく上り基調セクションだ。峠のような斜度はないものの、次第に登り基調が強まっていく。バイパスのような大通りに出てからはずっと見通しの良い直線道路が続いており、ランドヌールたちのテールライトの明かりが一直線に伸びていた。

PBP最高地点に向けて17 kmの緩斜面を登っていく

 往路は西向きに進んでいくので目線の先はまだ暗いが、ふと後ろを振り返ると徐々に空が白み始めていた。実はこの先のPBP最高地点のあたりで朝焼けを拝めるようなペース配分で走行計画を立てていたのだった。結局計画より若干早く進み、日の出の約1時間前、PBP最高地点である電波塔 Émetteur TDFに到着した。

PBP最高地点にある電波塔。ちょうど空が白んできた

朝焼けをバックに走るランドヌールたち

 一旦道端に避け、続々と走り抜けていくランドヌールたちを写真に収める。ある程度の粗密はあるものの、本当に絶え間なく車列が続いており、改めてPBPの規模の大きさに驚いた。

 写真映えを狙って日の出まで粘っても次のPCクローズには間に合う計算ではあったのだが、雲が出てきてしまったので朝焼け写真は諦めて再出発。ここからはご褒美の下り区間だ。徐々に周りも明るくなってきて景色も楽しめるようになってきた。曇りがちな空模様のせいかもしれないが、昨日のフジェール近辺での朝とは少し雰囲気が違って見える。道路脇は街路樹を隔てて畑が広がっており、畑の周囲一帯には霧が立ち込めている。さながらホラーゲームの舞台のような、彩度を失ったこの景色こそ、一つのブルターニュ地方の原風景なのかもしれない。

畑から霧が上がり、怪しい雰囲気を醸し出していた

振り返れば綺麗な朝焼けが見える

 日が昇り明るくなってきたので眠気はほぼ吹き飛んだが、今度はお腹が空いてきた。そろそろ朝食がてら休憩しようかと考えていたところ、シジュンという街に差し掛かった。時刻は朝の7時半だったが、PBPのために特別に早くから開けてくれているお店も多数。続々と参加者たちが吸い込まれていたので、私も便乗してパン屋さんに立ち寄った。思えばここまでPCの代わり映えしない食事ばかり食べていたが、こういう街のパン屋さんに寄って食べると少しは旅行気分が味わえて良い。その場で食べる用のサーモンベーグルと、持って走る用のジャンボンブールを1つずつ購入した。

570 km地点、シジュンのパン屋で朝食休憩

ベーグルを貪りながら眺める空

 店の前のベンチでベーグルを食べつつ、改めて町並みを見渡してみる。立派な尖塔を備えた教会、石畳の道路、手入れされた花壇とちょっとした屋外テラス。現地の人にとってはどうということはないのかもしれないが、一つ一つがおしゃれな町だ。
 まだ日が昇り始めたばかりで寒かったが、これから暑くなることを見越して反射ベストなど防寒着を脱いで再出発。しばらくはマイペースにのんびり走っていたが、郊外に出たあたりだったか、10人ほどのペースの合う集団に遭遇したので混ぜてもらった。見ると先頭の数名の方はルデアックと書かれたビブを履いており、地元のブルベクラブの方々と見受けられた。ルデアックからここまでは200 kmも離れていないので、おそらくこの道もブルベで幾度となく通っているのだろう。さすがに地元民だけあって走り慣れており、ペーシングも絶妙だったので、絶大な安心感のもとで走ることができた。

 進んでいくとちょっとした山越えのような箇所も出てきたが、相変わらず快適なペースで進行していく。更に進むといよいよブレストの市街に突入し交通量も徐々に増えてくるが、そこはさすがの地元ランドヌール、適切に車道とコミュニケーションを取りながら進んでいく。ラウンドアバウトの優先権や進入可否など、もし単独走行なら一瞬戸惑ってしまいそうな場面もしっかり取り仕切ってくれるので、この上なく有り難かった。PBPには珍しく、多少無理してでもついていく価値のある集団だと思う。

 そうこうしているうちにブレストのPCに到着。数々の先人たちのブログで拝見したブレストのアーチを目の当たりにしたときは、「本当にここまで来てしまった……」と立ち尽くすような心情だった。お世話になったルデアックのランドヌールたちとはここでお別れ。この区間は多くの方がアップダウンに苦しめられたようだが、私の場合は彼らのお陰でかなり快適に走ることができた*2

ついに折り返し地点のブレストに到着

 駐輪場に向かうと、ドロップバッグ受託の際にお見かけしたLUN HYPER装備のAnchorが停まっていたので、近くに停めさせてもらった。コントロールでスタンプを貰い、先の行程を確認していると、なんとPBP前にPBPみたいな距離を走ってきた男と再会! 胃腸トラブルに悩まされたと話していたが、お互い40時間以内にここブレストまでたどり着けているので問題なく完走できるだろうと談笑。またランブイエで! と挨拶を交わして別れた。

ブレストのPCは比較的広く、写真の真ん中奥付近にコントロール、逆側にカフェ等があったようだ

 そういえばシジュンのパン屋で買ったサンドイッチを食べていなかったので、悪くならないうちにここで消費。PCのものと違い、バゲットも柔らかくてとても美味しかった。復路では積極的に街のパン屋に寄ろうと決意。

 LUN HYPER + Anchorの方が戻ってこられたので少しお話しした。もう少しゆっくりしても良かったが、補給も仮眠もひとまず不要なので、ゆったりと再出発することにした。ここからやっとこさPBP後半戦。復路はPCクローズタイムにゆとりが出てくるので、景色も楽しみながら走りたい。

PC6 ブレスト (10:20 607 km) → Secret PC プレバン (13:50 661 km)

 往路では内陸側を通ってきたが、PCから先は海に近い南側を進んでいく。PBP名物でもあるブレストの大吊り橋、プルガステル橋がかかるのもここだ。天気も絶好で良い眺めが期待できそうだ。市街地を少し進んでいき、線路と高速道路をアンダーパスでくぐり抜けると、海水浴場が目に飛び込んできた。天気も良かったため海水浴を楽しんでいる人も多く、もちろんランドヌールたちもこぞって写真を撮っていた。ランブイエからはるばる600 km走り続け、フランスの西端まで来てしまったことを実感する。そしてさらに進んでいくと、いよいよ名物のプルガステル橋に到着した!

PBP名物のプルガステル橋。圧巻の迫力だった

 画角に収まりきらないほどの巨大な支柱が眩しい青空によく映える。あまりに気分が高揚したため自撮りでもしようかとインカメを起動したら、綺麗にサングラス焼けをしていて笑った。名スポットの様子も写真に収めたため再スタートすると、地元の方だろうか、橋の出口のあたりで苺を配っていらっしゃったので、ありがたく一ついただいた。

 今回のPBPは往路600 kmの制限時間が40時間と厳し目だが、代わりに復路はたっぷり50時間もある。その心理的余裕がここまでの疲労蓄積に加わり、ちょっとした登坂でも10 km/hぐらいのノロノロ走行になる場面も。ただまったく焦る時間ではないので、マイペースに進んでいく。

639 km地点、キエラという街にある教会

キエラの街並み

 途中キエラという街にてパン屋に立ち寄り、ジャンボンブールを2本購入。お店の前のベンチで片方を食べ、もう一本を背中に挿して再出発した。ここから5 kmほど、斜度にして4%程度の登り勾配を行った先に、街を見渡せるちょっとした展望スポットがある。事前にチェックしておいたその情報をモチベーションにして、徐々につらくなってきた緩斜面をなんとかこなした。コースから対向車線側に逸れて自転車を停めると、地平線まで遮るもののない一面のパノラマ。遠くにはさっき走ってきたブレストの海水浴場と思しき湾も見えた。

キエラから5 kmほど進んだところにある見晴台のような場所

 あまり立ち寄っている参加者はいなかったが、天気が良ければ一見の価値のある場所だと思う。

maps.app.goo.gl

 頑張って稼いだ標高貯金を一気に消費し、さっき買ったジャンボンブールをちまちま食べながらまた街に向けての登り返しをこなす。このあたりは基本的に単独進行で車列もまばらだったため、右側通行であることを除けば国内ブルベで広域農道を走っているときのようだった。

アップダウンはあれど、のどかな風景が続く

丘の上から街が見下ろせる珍しいロケーション

 そろそろボトルの水が尽きかけてきたので、次の街でお店に入るか、私設エイドが出ていればお世話になってみようかと考えていた。メモを見るともう少しでプレバンという街があるらしいので、ひとまずそこまでは頑張ろう。PBPでは珍しい斜度5%以上の坂をインナーローでゆっくり登り、やっとこさプレバンに到着。すると「Secret Control」の看板が出ている。なるほど復路のシークレットはここだったか。スタンプを貰い、ボトル2つを満水にした。

Secret PC プレバン (14:00 661 km) → PC7 カレ (15:50 700 km)

 もともとプレバンの街は立派な礼拝堂の建物があるということでチェックしていたのだが、まさかそれがシークレットコントロールになっているとは思わなかった。コントロールのゲートをくぐるとすぐに礼拝堂が待ち構えており、何枚か写真に収めた。やはり壮観だ。

プレバンのシークレットPCを出てすぐ、豪華な教会が見送ってくれる

なかなかの坂の上にあったが、見事な街並みだった

 さて、次は往路でも通ったカレを目指す。といっても往路とはまったく違うルートなうえ、あのときは真っ暗闇でほとんど何も見えなかったので景色は新鮮……なはずだったのだが、畑、牧場、延々と続く見通しの良いアップダウンという代わり映えのない景色にさすがに飽きてきた。唯一天気が良いのだけは救いだったか。

相変わらず牛との距離感が近い

 カレの街に突入したあたりだったか、何人かのランドヌールたちと成り行き集団が形成されたのだが、前走の方のシートステーがやたらとエアロな形状をしているのが気になってまじまじと見入ってしまった。これは……Cannondale SystemSix……! エアロロードは往々にして乗り心地が犠牲になるため一般的にブルベ向きではないと思うのだが、この方はそれをものともせず走っていらっしゃった。それにしてもSystemSixとは……エアロロードの中でもかなり渋いセレクトだ。普通に走っていてもなかなかお目にかかれないし、なんなら実写を見たのはこれが初めてかもしれない。

 例によって登り基調の街中をクリアし、浮き砂で滑りそうなエントランスを無事抜けてカレのPCに到着。かなり疲労が出てきた。スタンプを貰い、奥の空いている食堂でエネルギーになりそうなパンとケーキを取った。あまりに疲れていて食べている最中に気づいたのだが、このケーキ、パリ・ブレストじゃないか。どうせならゴール後に食べたかったが、まぁもうパリ→ブレストの往路はクリアしているし食べる権利はあるだろう、ということで遠慮なく頂いた。

PC7 カレ (16:30 700 km) → WP グアレック (18:20 733 km)

 炭水化物をしっかり補給したところで、次はWPのグアレックに向けて走っていく。距離はたったの33 kmなのですぐ着くだろう……と思っていたのだが。ひたすら真っすぐな道を突き進み、30分ほど走ったあたりだっただろうか、さっきの炭水化物の消化が始まったようで急に眠気がきた。どこか良いお昼寝スポットはないかと探しつつ走っていると、ちょうどよく道路脇にベンチが出ている場所を発見。ありがたく使わせてもらい、15分ほど仮眠した。

 やはり疲れているときのお昼寝ほど気持ち良いものはない。たったの15分ですっかり頭もリフレッシュできた。リスタート後は周囲のランドヌールたちと牽きつ牽かれつしながら進んでいく。しばらく進むとすぐにグアレックに到着した。メインの通りから逸れるようにコースが引かれており、それに従って進むとWPの駐輪場に出る構造。食べ物も売っていたようだが、特にお腹も空いていなかったのでボトルだけ補充してすぐにリスタートした。

WP グアレック (18:30 733 km) → PC8 ルデアック (21:00 785 km)

 グアレックの街をはずれて郊外に繰り出す。通常は都市部が丘の上にあるのだが、ここはなぜか街から出るために坂を登らなければならなかった。タラタラと登りをこなし、そこから先はご褒美のダウンヒルタイム。ここはPBPの下り区間の中でも特に線形や路面状態がよく、上体を下げてエアロポジションをとるだけでかなりスピードを乗せることができた。

 下りきった先にはポンティビーという街がある。ここは川沿いの街並みが綺麗なので事前にチェックしてあった場所。確かに下調べに相違なく、石造りの建物と鮮やかな花壇に彩られた美しい街並みが続いていた。要所要所で現れるこういうおしゃれスポットが、1200 kmを走り抜けるエネルギーを与えてくれるような気がする。

763 km地点、橋から見渡すポンティビーの街並み

 ここを過ぎてしまえば次のPCまではあと少し。次はいよいよドロップバッグの拠点、ルデアックだ。徐々に傾きつつある日を受けながら、疲れてきた脚にはなかなか凶悪なアップダウンをこなしながら走っていく。道中成り行きで一緒になったランドヌールと同行。体格も大柄で見るからにスプリンターと見受けられたので、平坦で牽いてもらいつつ、登りでは前に出てペーシングをしてみる。こうも脚質の違う人と一緒に走るのは初めてなので、どれくらいがちょうどよいペースなのか分からなかったが、少しは役に立てただろうか。しばらく走っていると日本人ランドヌールの方々と合流、雑談しながら走っているとあっという間にルデアックに到着した。

 スタンプを貰い、ドロップバッグにて荷物整理をする。念のため明日の行程をEpic Ride Weatherで確認してみると、ゴール手前で若干雨が降るかも?という予報。しかし気温はこの2日ほどは下がらないようだ。春秋用の長袖やタイツは不要と判断し、当初の予定通り半袖&裏起毛アンダーで凌ぐことにした。スマホをモバイルバッテリーにつなぎ、充電中にシャワーと歯磨きを済ませた。

PC8 ルデアック (22:20 785 km) → WP ケディヤック (1:20 846 km)

 荷物整理に時間がかかり滞在時間が伸びてしまった。すっかり日も落ちて寒くなってきたが、あと1区間だけ頑張れば今日の行程は終了だ。ナイトライドに向け気合を入れ直して再出発する。PCを出る際、日本人ランドヌーズの方がコントロールの場所が分からず困っていらっしゃったのでお声がけしたが、あの方は無事完走されただろうか。

 往路のケディヤック→ルデアック間はなかなかのアップダウンだったが、復路ではまた違う道を通る。日が落ちていて勾配が分かりづらいというのもあるだろうが、往路ほど厳しい登坂はなかったように思う。ただその代わり、ひたすらに代わり映えのしない暗闇の中を走り続ける区間で、心理的な圧迫感があった。PBPも後半戦で参加者同士の間隔がかなりバラけているのもあり、周囲に誰もいなかったため、ここで奥義のBluetoothスピーカーをスイッチオン。遥か西洋の宵闇に小倉唯TrySailを響かせ、一人テンションを上げながら走っていった。そのまま走っているといつの間にか後ろから何人かが連結してきた様子。お構いなくスピーカーは鳴らしっぱなしで走っていたが、眠気覚ましとして役立てていたのだろうか?

 この夜間に駆け抜けたいくつかの街では大規模な私設エイドが展開されており、さながらオーバーナイトコントロールのような賑やかさだった。その中の一つ、イフォーという街では、小学校低学年ほどと思しき男の子が慣れない英語とジェスチャーで一生懸命呼び込みをやっており、改めてPBPが地域にとって一大イベントであることを実感した。

823 km地点、イフォーの街では大規模な私設エイドが設けられていた

 正直かなり限界が近かったが、仮眠地点のケディヤックまであと少しだったので、ここでの休憩はパスして進むことに。しかし次第に眠気がきつくなり始め、ケディヤックまで10 kmもない地点で我慢できずにお店の軒先に座り込んだ。眠すぎて殆ど覚えていないが、サン・メアン・ル・グランという街だったらしい。周りにもここで仮眠している人が何人かいたように思う。

 あまりがっつり寝てしまうと仮眠所で寝れなくなるため、ここでは5分だけ。それでもある程度意識は回復した。体温低下を最低限に抑えられたのも良かった。なんとかリスタートしてWPのケディヤックに到着し、本能の赴くままに暖かいスープとチキンを注文。空腹のせいもあるかもしれないが、ここのチキンについてきたじゃがいもがPC飯で一番美味しく感じた。

ここのチキンとじゃがいもはとても美味しかった

 仮眠所のチケットを購入して入室してみたが、やはりみんな同じことを考えているようで入場列ができていた。どうもベッド自体が埋まっているわけではなく、受付がオーバーフローしている様子。10分ほど待つと自分の番が回ってきた。ボランティアの学生さんに案内されたのは体育館の壁際に置かれたエアマットで、お世辞にも快適とは言い難かったが、床の冷え込みをある程度遮断してくれているだけありがたかった。

3日目 走行記録

21:02 [WP] サン・ニコラ・デュ・ペレム 滞在5h28m
 ↓   33 km / 1h20m = 24.8 km/h
03:50 [PC5] カレ 滞在0h32m
 ↓   90 km / 4h20m = 20.9 km/h & 休憩44m
09:26 [PC6] ブレスト 滞在0h49m
 ↓   93 km / 5h01m = 18.6 km/h & 休憩35m
15:51 [PC7] カレ 滞在0h42m
 ↓   33 km / 1h29m = 22.3 km/h & 休憩20m
18:22 [WP] グアレック 滞在0h04m
 ↓   52 km / 2h30m = 20.9 km/h
20:56 [PC8] ルデアック 滞在1h22m
 ↓   61 km / 2h58m = 20.4 km/h & 仮眠05m
01:21 [WP] ケディヤック

 

 続きはこちら。

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*1:復路で気づいたが、この列をパスした先に別の売店があった。こちらの方なら並ばずに買えたかもしれない

*2:往路は