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ブルベのライドレポートを書いていきます

BRM503あおば1000酷 レポート (3/4) ~ Day 2 茅野→入善 ~

 VCR横浜あおば主催の1000 kmブルベ「酷」、2日目は茅野から飯田峠を抜けてひたすら岐阜県を北上し富山に至る350 km / 3500 m upの旅路。初見の道が多いので、どんな景色が広がっているのか楽しみだ。

 前回はこちら:

m24kmc.hatenablog.com

ちのステーションホテル (274 km) ~ TC4 安国禅寺 (276 km)

 4:30に起床、昨日買っておいた朝食を流し込んで荷物を整えて5時過ぎにリスタート。それほどお腹が空いていなかったので、パンはほとんど持って走ることにした。気温こそ高くないが、日が昇っているのでそれほど凍えずに済んだ。出発を早めていたら寒かったかもしれない。ホテルを出るとすぐに安国禅寺に到着。忘れずにフォトチェック用の写真を撮る。

TC4 安国禅寺

TC4 安国禅寺 (276 km) ~ TC5 飯田駅 (373 km)

杖突峠 (5.9% 8.1 km)

 フォトチェックを過ぎるとすぐに杖突峠の上りが始まる。朝のつんと冷たい空気の中、淡々と登っていく。今日もいい天気になりそうだ。ここは去年のぐるっと安曇野で逆向きに通った場所。確かピークには木々に紛れて市境の看板が立っていたはずなので、それを探しつつ登っていくと、見覚えのある場所に出た。茅野市-伊那市境、ここが頂上だ。

 ここからはしばらくご褒美ダウンヒル。いま登ってきた400 mに加えて、昨日作っておいた標高貯金も少し切り崩して下る。まだ気温が低いのでレインウェアで防寒を固めて下り始めた。朝日に照らされた高遠の集落を気持ちよく駆け下りていく。前回仮眠したバス停はどこらへんだっただろうか? そんなことを考えながら走っているとすぐに伊那の市街地まで降りてきた。時刻は7時前。まだ本格的に動き出していない街の中を進んでいく。宿の門限に間に合わなかったときのためにチェックしておいたコインランドリーをパスし、天竜川に沿って南下を開始。ここから次のフォトチェックの飯田駅までは、秘境駅で有名な飯田線(の秘境じゃない部分)の少し横を走っていく。途中、宮田のコンビニでドリンク補充。だいぶ気温も上がってきたので防寒具を脱いで体制を整え再出発した。

伊那から飯田に抜ける

 駒ヶ根、片桐、市田元善光寺と、ほんのり名前を聞いたことのある街を抜けていく。この区間は田んぼに囲まれた道もあれば高規格なバイパスもあり、走っていて飽きなかった。

 次のフォトチェックの飯田駅を過ぎるとすぐに無補給区間が始まる。その前に道路右側のコンビニにで再度補給しておくことにした。といっても朝から持ち歩いているパンがまだ残っていたため、三ツ矢サイダーだけ購入。トイレでプロテクトJ1を塗り込み、春秋ジャージを脱いで再出発した。珍しいラウンドアバウトを通過すると飯田駅に到着。さあ、いよいよ本日のメインディッシュが始まる。

TC5 飯田駅

TC5 飯田駅 (373 km) ~ TC6 下呂温泉常夜灯 (452 km)

 飯田駅を出発して市街地を少し走っていくとgarminのclimb proが発動。残り総上昇に軽い目眩を覚えながらも、意を決して進んでいく。

飯田峠・大平峠の2連クライムが始まる

飯田峠・大平峠 (4.8% 15.8 km + 5.4% 3.8 km)

 ひたすら長い飯田峠が始まった。どうせ長いことは分かっているので、景色でも見ながらのんびり登ろうということで、序盤から積極的に写真撮影(を口実にした足つき)を挟んで登っていった。しかしその口実作りを抜きにしてもこの峠はなかなか見どころの多い峠で、小さな滝の一つ一つに木製の看板がついていたり、道祖神が祀られていたりと、見ていて楽しい峠だった。何より天気が良く、木々が青々としているのが嬉しい。

飯田峠の道中にはいくつも滝があり、景色には飽きなかった

 途中何人かのランドヌールやローディーと会い、最後にはキツネと対峙する場面も。ベルを鳴らすと逃げていってくれた。そんなこんなで第1ステージの飯田峠をクリア、少し下ると大平宿に出た。こんな山奥に宿場町……?と思ったが、実際いま走っているこのルートは古く大平街道として栄えた道のようで、その宿場町として発展していたようだ。大平宿はすぐに抜けてしまい、再度登り返しになる。せいぜい4 km、あと少し、と念じながら走っているとすぐに頂上に出た。てっきり大平峠の標が出ているのかと思ったが、頂上のトンネルには木曽峠と書いてあった。これで今日の大ボスは倒した、あとは細かい峠をパスしていくだけだ。

 大平峠(木曽峠)のダウンヒルはコーナーが連続しておりあまり飛ばすことはできなかったが、ずっと回しっぱなしだった脚を休められるだけでもありがたい。ブラインドコーナーが連続するので、対向車に注意しながらラインを守って下っていく。しばらく下ると国道256号線に合流、中山道を旅しているであろう車やバイクとともに川沿いを下っていく。しばらく行くと、事前にチェックしていた休憩ポイント 妻籠宿に差し掛かった。一旦コースを外れて橋を渡り、押し歩きで妻籠宿を観光。ここは中山道の宿場町として名高い場所で、この日も多くの観光客で賑わっていた。澤田屋さんで名物の「柿と栗」「栗きんとん」を購入し、店舗向かいのお座敷で優雅にいただく。ブルベ途中とは思えないのんびり具合だが、せっかくのロングライド、観光しなくてはもったいない。中山道を旅した先人たちに思いを馳せながら、しばし脚を休めた。

コースを少し離れ妻籠宿へ寄り道。宿場内は降りて押し歩き。

澤田屋さんで名物 柿と栗、栗きんとんをいただいた

天気にも恵まれ、観光客で賑わっていた

 30分ほど滞在した妻籠宿をあとにするとすぐに岐阜県に突入する。これまで岐阜県を走った経験といえば、いってこいビワイチのときに海津から関ケ原までをかすめた程度。まともに名所らしい名所を走った経験がないので、今日が事実上の初岐阜ライドとなる。まずは木曽川に沿って坂下の方へ下っていくのだが、すぐに眼下に広がった澄み切った木曽川の流れに圧倒された。これが岐阜……最高か???

 その後ものどかな風景の中を進んでいく。途中道の駅 花街道付知にてトイレ休憩をはさみ、あまりに天気が良いのでスイカバーを購入した。このあたりは数kmおきに微妙な上り下りを繰り返す道だったが、景色と若干の追い風のおかげで無理なく進めている……と思ったのだが、どうも眠気のようなものを感じる。昨日はしっかり寝たし、定期的に補給もしているのでハンガーノックではない。なんだろう? と考えてみると、どうも軽い熱中症や脱水のような気がする。さっき休憩したばかりだったが、迷わず道の駅にピットイン。自販機で麦茶を一気飲みしたところだいぶ回復したように感じた。ずっとボトルに入れた濃厚砂糖水(ソルティライチパラチノース)ばかり飲んでいたのが良くなかったのかもしれない。甘くない麦茶がやたらと美味しく感じた。

付知川。岐阜県に入ってからはずっとジオラマのような光景が広がっていた

 舞台峠という面白い名前の峠(といっても平均勾配は3%程度だが)を越えると10 km弱の下り区間に入り、下り切ると下呂温泉に至る。GW真っ只中ということでさすがに人が多かったが、温泉街特有の街の雰囲気を感じられた。少し進むと通過チェックの常夜灯に到着。この先にファミレスがあるので、そこで中休憩を挟もう。

下呂温泉のあたりはさすがに人が多かった

TC6 下呂温泉常夜灯

TC6 下呂温泉常夜灯 (452 km) ~ TC7 岩瀬浜駅 (592 km)

 常夜灯から1.5 kmほど走り、ジョイフル下呂萩原店にピットイン。まだ16時前ということで店内はそれほど混んでいなかった。なんとなく肉が食べたい気分だったので、ペッパーハンバーグを注文。提供されるまでの間少し意識を飛ばしていた。

下呂のジョイフルにて中休憩

 しっかり腹を満たしたところで再出発。ここからは本日最後の上り区間、宮峠に向けて1%の緩斜面が30 kmほど続くが、さっきのハンバーグパワーで難なく登っていく。岐阜県も北部に入るとかなり山間部という景色になってきた。高山本線の線路を横目に見ながら進んでいく。

飛騨から富山に向けて抜けていく

宮峠 (3.6% 2.3 km)

 徐々に上り勾配が強まっていき、自転車通行不可のトンネルを回避するといよいよ本日ラストクライム。峠といいつつ、周りには家々が立ち並んでいたので心理的圧迫感は少なかった。気がつけば峠に到着、日も傾き始めた空を眺めながら下りをかっ飛ばす。少し進むと高山の町並みに出た。飛騨国分寺の三重塔を過ぎたあたりでコンビニストップ。スティックパンとドリンクを補充し、焼き鳥で塩分補給をして再出走。そろそろ日も落ちて寒くなりそうだ。

 ここからは富山まで70 km以上の下り区間、ボーナスステージだ。今日の旅路に思いを馳せながら走っていれば一瞬だろう……と思っていたのだが、ちょうど飛騨市の集落を外れたあたりだっただろうか、日が落ちるとともに、割りと大きめの羽虫が大量発生していて難儀した。蛾とまでは言わないが、それなりの質量があるサイズ感の……。いくつかトンネルを越えるとぱたっといなくなり、それ以降は快適に走ることができた。

 日も完全に落ち、まばらな街灯の中をVolt 800+400+200の3灯で駆け抜けていく。景気づけにスピーカーからTrySailを流し、ノリノリで口ずさむ。この感じ、非常にブルベ感がある。トンネルや裏道のような細道も抜けながら快調に進んでいくとぬるっと富山県に突入。途中でランドヌールの方と合流し、富山市街の手前までご一緒させていただいた。

 当初、富山で最初のコンビニに寄る予定だったのだが、それよりも着席で食べられる牛丼屋のほうが良いと思い、コンビニをパス。一度道路右側にすき家の看板が見えたが、どうせ富山市街に近づけば牛丼チェーンなんていくらでもあるだろうと思ってこちらもパス。しかし徐々に増えてくる信号ストップの合間に地図を調べてみると、意外にもルート上に牛丼屋がないことが判明。すぐそこにラーメン屋が見えたので、そこに入ることにした。油でコーティングされた床でコケそうになりながら着席、しばしBOAをゆるめて脚を休める。時刻は21時過ぎ、富山市街まで無事降りてこられたことを祝し、チャーシューつけ麺でお腹を満たした。

富山駅手前の麺屋丸超でつけ麺休憩

 やはり都市部は明るくて良い。人の営みを感じながら北上し、JRをくぐってさらに進んでいくとすぐにフォトチェックの岩瀬浜駅に到着した。この駅、富山地方鉄道富山港線の終着駅なのだが、駅のホームとバス停がシームレスにつながっていて面白い構造の駅だった。ブリーフィングで言われた通り、ここで主催者の方に通過報告のショートメッセージを送信した。

TC7 岩瀬浜

TC7 岩瀬浜駅 (592 km) ~ 入善 (629 km)

 さあ、いよいよ今日の行程もあと少し。40 km弱という、短いような長いような微妙な距離を進んでいく。さすがにだいぶ疲労が溜まっていたのと、サドルとの摩擦で尻が傷んでおり、人がいないのをいいことにうめき声とも奇声ともとれるような独り言を垂れ流しながら進んでいった。たぶんこれが日本海……? 暗くてよく見えない。「霞ヶ浦です」って言われたら信じるな……などと妄言を漏らしながら無心でクランクを回す。黒部市をこえるといよいよ入善町に突入、あと少し! Aimerなんかを流しながらラストスパートをかけ、あいの風とやま鉄道をオーバーパスした先のコンビニに到着。さっきのつけ麺がまだお腹にいるので、今日の夕食は買わなくて良さそうだ。明日の朝食と補給食、ドリンク類を確保し、1 kmほど進んでちょうど日付が変わる頃に宿に到着した。

 自転車は屋根付き屋外の喫煙スペースに停めることになった。屋外&地球ロックできなかったので少し心配だった。電子機器類を充電し、サドルバッグの衣類をドロップバッグの中身と入れ替え。ユニットバスでシャワーを浴び、同じくドロップバッグしておいたACTIVIKEのプロテインを投入。少しでも疲労回復に役立てば良いのだが。なんだかんだで就寝は2時前になってしまった。

 

Day 2 茅野 → 入善

355.0 km / 3452 m up

18h41m / Avg. 19.0 km/h

 

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