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ブルベのライドレポートを書いていきます

BRM918東京1000いってこいビワイチ ライドレポート (4/4)

 長かった1000 kmブルベもいよいよ最終日。ひたすらもと来た道をたどれば石和で最高の温泉が待っている。

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 しっかりと6時間ほど寝ただろうか。優雅に朝食バイキングを食べながら、今夜の石和健康ランドの予約。ドロップバッグの荷物をまとめてフロントに預け、なんだかんだで出発は9時頃になってしまったが、貯金もあるので大丈夫だろう。

東横INN名古屋金山 (677 km) ~ PC2 御前崎 (839 km)

 名古屋の市街を脱出し、岡崎に向けて走っていく。初日は暗くてあまり分からなかったが、この一帯は今回のルートの中で最も都会なエリアだ。今日は平日の月曜日、仕事の車で道は少し渋滞気味だった。まだ9時台にも関わらずやたらと日差しが強く、日中はさらに暑くなりそうだ。

 さて、往路でもそうだったように、この名古屋↔御前崎区間距離が160 kmもあるロングセクターだ。加えて御前崎は往路・復路とも時間制限のあるPCとなっている。念のためクローズ時間を確認しておく。

「あれ……意外とギリギリ……?」

 PCのクローズ時刻は大雑把に、制限時間いっぱいを使って全行程を一定ペースで走った場合の通過時刻に設定されている*1。当然休憩時間などは加味されないため、借金覚悟で仮眠して後半で巻き返すという作戦の場合、フィニッシュではなくPCの段階で借金を完済している必要がある。

 さて、今回の私のプランでは(ギリギリ隊は怖いので)72時間(翌朝6時)程度でゴールのつもり。要求グロス平均速度は16 km/hなので3日目の疲れを考慮しても余裕だろうと踏んでいた。しかしこのペースではPC2で借金が返しきれない。完済するとなるとPC2までの要求グロスは17 km/hまで上がる。

 ここに来て見事にフラグ回収をしてしまった。しかしグロス17なら無理なペースではない。コンビニでダラダラせず、飛ばせるところで飛ばせば十分間に合う。早めに気づいてよかったと気合を入れ直して走り出した。

 それにしても今日は気温が高い。あまりコンビニに頻繁に寄っていると時間がかかってしまうが、熱中症になっては元も子もないので岡崎のセブンイレブンに立ち寄った。ソルティライチがあればそれを、なければポカリかアクエリアス*2。これとカップ入りのクラッシュアイスをボトルに投入、ジェルは2パック常備できるよう適宜補充、というルーチンでコンビニストップの時短を狙った。これだけ暑いと氷はすぐに溶けてしまうが、短い間でも冷たいドリンクが飲めるというのはやはりありがたい。

 2日前にも通った東名高速脇の側道を通り、岡崎から豊橋に抜ける。明るいだけで幾分気持ちは楽だが、やはりこの細かいアップダウンは脚に来る。

「明るいときに走ってみたい」と言っていた御油の松並木も楽しむ暇なくそそくさと走り抜け、そういえば昨日通った気がする豊橋の市街地を抜けて少し行くとすぐに浜名湖だ。写真は一昨日撮ったので今日はただ先を急ぐ。とはいえ、ここまではいいペースで来ているので、このまま行ければ十分間に合う。

 浜松を過ぎ、信号が少ない遠州海岸では下ハンを握ってしっかりと回していく。途中ファミマでドリンクを補給しつつ、すぐにリスタート。天竜川を渡って磐田に入る。ここから30 kmほどはひたすら道なり。幸い車通りもそれほどなかったので、無心でペダルを回していく。

 磐田に入って少ししたあたりだっただろうか、サブライトのvolt400が落下してしまった。私は膝に当たるのが嫌でステムバッグをハンドルの前側に持ってきているのだが、これがvolt400に寄りかかるような形になっており、爪のかかりが浅くなっていたようだ。すぐに停車して探しに行くが、路上には落ちていない。道路脇の草むらに入ってしまったようだ。すぐに見つからなければ諦めよう、ヘルメットライトがあるので2灯は確保できる、どうせなら次はvolt 800を買ってvolt800 2灯体制にしようか……などと考えながら2往復ぐらいしていたところ、奇跡的に草むらの中にvolt400を発見! もう落とさないようにタイラップで入念にくくりつけ、再び走り出した。タイムロスは10分ぐらいだっただろうか?

 袋井、掛川と進み、気づけば御前崎まであと20 km。トラブルはあったがそれほどタイムロスもなく済み、PCクローズにも間に合いそうだ。御前崎手前の上り坂をこなすと、頂上からの下りで夕日に照らされた御前崎灯台が視界に入ってきた。

夕日に照らされる御前崎灯台

 ここまで無心でクランクを回していたが、やっと気持ちに余裕が生まれて景色を楽しめるようになった。夕暮れの海岸道路を楽しみながら、PC2にはクローズ40分前に到着できた。さすがに疲れて固形物がしんどくなってきたので、レアチーズケーキとアロエヨーグルト、デカビタCで腹を満たし、ドリンクを補充。股ズレもそれなりに出ていたのでプロテクトJ1を塗り込んだ。

PC2 御前崎 (839 km) ~ 通過チェック8 富士川松野 (933 km)

 PCで休憩しているうちにあたりはすっかり暗くなってきた。さて、ここまででそれなりに脚を使ってしまったが、時間的にはかなり余裕ができた。焼津、由比の夜景を楽しみにしつつ出発する。

 海岸沿いの道路は交通量はあるものの信号が少なくて比較的走りやすい。なるべく加減速がないように省エネで走っていく。大井川を渡り、焼津の住宅街に入ると夕飯のいい匂いが漂っていた。ほどなくして浜当目トンネルへの上りが始まり、上り終えてトンネルを抜けると下りが始まる。月明かりの中、遠くに見える静岡・清水市街の明かりがとても綺麗だった。ワインディングを下りきり、個人的お気に入りスポットで撮影停車。この一帯は今回のブルベで一番夜景が綺麗だった。

大崩海岸の周辺は夜も綺麗だった

 この区間も100 kmあるので、ちょうど中間地点になる安倍川付近で一度コンビニ休憩を入れた。またしばらく海岸沿いの道路を走っていくと、清水市街が近づいてくる。何度か通った街並みだが、夜に通るとまた違った雰囲気が感じられるもの。まだ9時前だったが車通りはまばらで、しんと静まり返った駅前の大通りには何とも言えない旅情があった。

 興津を過ぎ、東海道本線・R1・東名高速を見下ろしつつ由比の旧道を抜けていく。蒲原を過ぎ、富士川に差し掛かる手前で進路を北にとる。ここから70 km近い富士川遡上が始まる。往路では下り基調をいいペースで走っていたのであまり気に留めていなかったが、日が暮れてから走るとなかなかに物寂しい。その代わり右手には富士市の夜景がはっきりと見えた。

 新東名高速をくぐり、集落の中を抜けていく。通過チェックのセブンイレブンまであと数kmのはずだが、ひたすら民家が続くだけでコンビニがある気配がない*3。あったとしても24時間営業しているのか……? 疲労も溜まってきて気持ちが下がりがちになってきていたが、そのまま進んでいくとセブンイレブンの看板が光っていた。かに玉あんかけとわらび餅を購入、暖かいご飯が嬉しい。

通過チェック8 富士川松野 (933 km) ~ フィニッシュ 石和健康ランド (1010 km)

 わらび餅を食べ終わり、トイレを済ませて再出発しようと思ったが、どうも頭がぼんやりする感じがある。ここから先は身延駅周辺がすこし栄えているぐらいで、あとはひたすら川沿いを走るだけ、ろくに休憩スポットは見込めない。そうなれば今ここで休憩しておくのが良さそうだ、ということで15分ほど目を閉じて休憩した。

 消化も終わり頭もすっきりした。内陸に入り少し冷え込んできたのでレインジャケットで防寒し、気分を上げるためスピーカーのスイッチをオン。さあ、あと80 kmでフィニッシュだ。1000 kmに比べればウイニングランも同然だろう。

 ……と思っていたのだが、ここがなかなか骨のある区間だった。区間全体の平均勾配としては1%もないようなわずかな上り基調なのだが、ところどころで5%、8%といった上りが出てくる。こんなにつらい区間だっただろうか? 間違いなく往路でも通っているはずなのだが……。どうせ誰もいないだろうと大音量で小倉唯を流していたら、工事の見張りのおじさんに思いっきり聞かれた。

 誰もいない深夜の身延駅前を通過。さっきのコンビニでの仮眠で回復した分が完全に上りで持っていかれ、かなり疲労が出てきている。幸い身延周辺はところどころにコンビニがあったため、六郷にてピットイン。もう残りも30 kmほど、カフェインに頼らせてもらう。これが最後の休憩だ。

残り30 kmを切ったところでレッドブルを投入

 気合を入れ直して再出発。この先の新割石トンネルを抜ければ今度こそウイニングランだろう。ペダリングが雑になってきたのか、無理なダンシングを多用したためか、膝が少し傷んできた。それでもこれが最後の上りと念じてなんとかクリア、トンネルを抜けて坂を下ると笛吹川だ。甲府に帰ってきた……!

 15 kmほど笛吹川沿いの一直線の道路を走りながら、今回の1000 kmの旅路を振り返る。異様にグロスを稼げた初日朝、焼津の海鮮、豊橋~岡崎の旧道アップダウン。快晴のビワイチ、月夜の関ケ原。PCクローズに追われた最終日、御前崎の夕日と清水の夜景。そして甲府盆地に帰還してこうして笛吹川を走っている。こうやって振り返って初めて、この3日間の旅路がすべてつながっていることを実感する。

 ラスト5 kmで笛吹川を渡り、石和温泉に向けて北上する。待ち焦がれた風呂が、ベッドが、すぐそこに待っている。最後はそれだけを考えて走っていた。そしてスタートから70時間半経過した13日午前4時半、フィニッシュのファミマに到着した。ザバスプロテインと、夕食か朝食か分からないパスタ・パン、ヨーグルトと飲み物を爆買いして石和健康ランドに帰還した。

出走から70時間半、1000 kmの旅路を経て石和に戻ってきた

帰宅

 朝の5時前にもかかわらずチェックインできるのはありがたい。個室に荷物を置いて温泉に向かう。きしむ足腰をごまかしながらウェアを脱ぎ、身体を流して温泉にダイブ……最高だ!! この瞬間のために1000 km走ってきたと言っても過言ではない。

 温泉に浸かっていると次第に日が昇ってきた。甲府市街が目を覚ましていくのを横目に、風呂から上がると気づいたら寝てしまっていた。

 3時間ほどぐっすり眠ることができた。買ってきたパスタとパンを掻き込んでチェックアウト、特急かいじで帰宅した。

3日間、よい旅でした

*1:スタート直後やRM1200+などでは例外もあるらしい

*2:これらは混ざり合ってもそれほど不味くならないので、ボトルに若干残りがあっても躊躇なく突っ込める

*3:往路でも通過チェックになっていたから無いはずはないのだが